宮崎駿監督が模型雑誌「月刊モデルグラフィックス」(2009年4月号~10年1月号)に発表したマンガを、スタジオジブリが劇場映画化。5年ぶりの新作として13年7月20日に東宝系で全国公開された。太平洋戦争で活躍した零戦(零式艦上戦闘機、ゼロ戦)の開発者・堀越二郎を主人公のモデルとした上で、堀辰雄による同題の小説から、結核による死を見つめた恋愛要素を加えた作品。主演の二郎は「エヴァンゲリオン」(→「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」)シリーズで知られる監督の庵野秀明が演じた。昭和初期を生きた若者たちの人生観というリアルな内容は、従来のファンタジー要素が強い作風と正反対。ものづくりに懸ける熱意は、監督自身の人生観とも重なっている。スタジオジブリが9月1日に、宮崎駿が本作をもって長編アニメーション映画の監督を引退すると表明。同6日に本人が会見したことも、世界各国で大きな話題を呼んだ。こうした話題性もあって、13年の興行収入は120億2000万円を記録、邦画部門で圧倒的な1位となった。同年第37回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞(翌14年3月、同最優秀アニメーション作品賞)、第68回毎日映画コンクールTSUTAYA映画ファン賞・日本映画部門受賞。さらに14年2月には、アニメ界のアカデミー賞と呼ばれるアメリカの第41回アニー賞で長編アニメ部門最優秀脚本賞も受賞した。