「雲のむこう、約束の場所」「秒速5センチメートル」で知られる新海誠監督の最新作。2013年5月31日より公開。靴職人を目指す高校生の主人公が、雨の時だけ新宿の庭園で出会える謎めいた女性に惹かれていく。万葉集の時代には「恋」を「孤悲(こひ)」と書いたという故事にちなみ、あえて孤独な想いを肯定するという文芸的な中編アニメである。新海誠は2002年に25分のOVA「ほしのこえ」をひとりで監督・制作し、インディーズ系アニメの流れを変えたクリエイター。雨に濡れる日本庭園の微細な明度差や色彩ディテールを緻密に描き、風景に詩的な想いを込める映像美の頂点を極めた。同時上映の短編「だれかのまなざし」ともども高い評価を得て、当初わずか23館という公開規模や、46分という短い上映時間としては異例の、興行収入1億円を突破した。