フランス、ベルギー、スイスなどのフランス語圏で広く読まれている伝統的マンガ。略称はBD(ベーデー)。「描かれた帯」という意味のフランス語が語源で、続きマンガを指す。「第九の芸術」として、研究・評論も盛んに行われている。芸術性が重視され、単行本はフルカラー印刷で、装丁にも凝っていることから、日本のマンガと比較して高価。読者層も大人がほとんどである。「タンタンの冒険旅行 Les Aventures de Tintin」の作家でベルギー人のエルジェや、大友克洋や谷口ジロー、浦沢直樹ら日本の人気マンガ家にも影響を与えたメビウス、旧ユーゴスラビア出身で映像作家でもあるエンキ・ビラル、1990年代から活躍が著しいダビッド・べーなど、日本で名前を知られている作家も多い。2008年には、BDをはじめとするヨーロッパのマンガを日本に紹介する雑誌「ユーロマンガ」(飛鳥新社)が創刊。また09年には、メビウスが来日して、明治大学、京都精華大学などで講演。10年にはニコラ・ド・クレーシー、パスカル・ラパテら現代のBD作家の邦訳が次々に出版されるなど、ゼロ年代になって再び静かなブームが起きている。