小玉ユキが小学館の雑誌「月刊flowers」に2007年11月号から12年3月号まで連載した、自身初の長編となる青春マンガ。舞台は1966年の長崎県の小さな町。主人公の西見薫は、父親の仕事の都合で、地元で大きな病院を経営する伯父の家に居候することになり、横須賀から引っ越してきたばかり。なかなか他人と打ち解けることができない性格の薫は、クラスメートたちの聞き慣れない方言にさえおびえている。物語は、ひとりの内向的な少年がジャズという音楽、信じることのできる友人、そして心安らぐ恋人との出会いや別れを経験しながら、大人として成長していく過程を描く。ストーリーの節目節目で重要な役目を果たすのは、ジャズ・メッセンジャーズの「モーニン」やビル・エヴァンスの「ポートレイト・イン・ジャズ」など、50年代から60年代初頭にかけてのジャズの名盤たち。東京のジャズ・ミュージック専門店「ディスク・ユニオンJAZZ館」とのコラボや、アニメ化なども話題になった。2012年1月、第57回小学館漫画賞一般向け部門(11年度)を受賞。