フルーツを砂糖やはちみつで煮込んで保存可能にした、フランスのジャム。砂糖がヨーロッパに広まったのは、東方との行き来が盛んになる十字軍、中世時代。ごまや香辛料と同じく非常に高価なものだったことから、フルーツを煮込むと薬効があると信じられていた。16世紀にはノストラダムスが「化粧品とジャム論」を著している。彼は予言者として有名だが、医学を学んでいたため、ジャムの功能をレシピとともにまとめたのである。その後、フランス宮廷ではジャムが珍重され、さまざまなレシピが開発された。しかし19世紀には砂糖の生産が広まり、ジャムも一般家庭でポピュラーになっていった。最近のジャムは、保存重視の甘いものではなく、素材を生かしたフレッシュな味わいを楽しむジャムに変化している。フランスからの直輸入品も増え、珍しいフルーツや野菜、スパイスを使ったコンフィチュールも登場。専門店では30~40種類もそろえていることも珍しくない。