昔懐かしいかき氷の中でも、天然氷にこだわったプレミアムなかき氷のこと。1000円前後と高めの値段にもかかわらず行列ができる人気の理由は、天然氷ならではの食感や美しさ。湧き水などの天然水から自然にできた天然氷は不純物が少なく、気泡のない透明な氷になる。冷蔵庫のない時代には氷を切り出し、氷室に保存していた。6月1日が「氷の朔日(ついたち)」といわれるのは、平安時代、この日宮中に天然氷が献上された行事にちなんでいると伝えられ、その時代にかき氷らしきものを食べていた記述は「枕草子」にもある。江戸時代には将軍家に献上されていた。時代は移り、一般家庭にも冷凍庫が普及し、いつしか氷室は、栃木県日光市「氷屋徳次郎」「松月氷室」「三ツ星氷室」、埼玉県秩父市「阿左美冷蔵」、長野県軽井沢町「渡辺商会」のみとなった。これらの直営店、あるいはこれらから天然氷を取り寄せ天然かき氷を提供している店は、繊細な削り方に、こだわったオリジナルのシロップやトッピングで、いまやガイドブックができるほどの人気。また、甘味屋だけでなく、バーやとんかつ屋、ラーメン屋などでも特別メニューとして置かれているのが話題になった。