[一言で解説]
被告人が行った犯罪事実として、検察官が主張しているもの。マスコミで起訴事実といわれているものはこれに相当する。
[詳しく解説]
検察官は、起訴状に「公訴事実」を書かなければなりません。この公訴事実とは、検察官が思い描いた犯罪事実の要点です。「要点」といっても個条書きではなく、いつどこで誰が何をどうしたかを、検察官が物語のようにまとめたもので、起訴状に書かれた「罪名」が成立するのに必要十分な事実が書かれてあります。これを訴因といいます。裁判所は、公訴事実に書かれていないことを裁判で取り上げることはできません。審判の対象はあくまで検察官が公訴事実として起訴状に記載されたことに限ります。そうしないと、公平であるべき裁判所が、被告人を取調べの対象としてだけ扱うおそれがあり、刑事裁判が被告人への圧政と化してしまうからです。
(関連項目)
→検察官