[一言で解説]
裁判所が裁判で下した判断。特に、拘束力をもつ最高裁判所の判断をいうことが多い。
[詳しく解説]
判例とは、広い意味では、裁判所が下した判断をいいます。裁判例ともいいます。この場合は、最高裁判所以外の、下級裁判所のものも含みます。重要なのは、こちらではなく、狭い意味で使われる「判例」で、最高裁判例を指します。最高裁に上告するには、上告理由が必要ですが、下級裁判所の判断が最高裁の判例に相反していた場合、その理由として認められるのです。最高裁判例となるのは、判決理由のうちの「結論を導く不可欠の理由付け」の部分です。たとえば、ある裁判の判決理由に「1人の女性を部屋に監禁し、ナイフで首をひと突きして殺した犯行は卑劣で残忍である。しかし、当初から、殺害後に死体をバラバラに損壊する計画で殺害するに至った場合は別として、そうでない本件では、死刑ではなく無期懲役が相当である」とあったとします。無期懲役という結論を導く不可欠の理由付けになっているのは「女性を部屋に監禁し、ナイフで首を一突きして殺した犯行は卑劣で残忍だから無期懲役が相当である」という部分です。そこでもし、後に起きた同様の事案に、裁判所が懲役5年の判決を宣告したならば、それは「判例」違反として上訴できます。これを、判例の拘束力といいます。なお、さきの判決理由の具体例では、「最初から計画があった場合には死刑になる」かのようにもいっていますが、この部分は結論を導く不可欠の理由付けになっていないので、拘束力はありません。判決理由のうち、このような部分を傍論といいます。
(関連項目)
→判決理由