[一言で解説]
捜査機関が任意で、事件に関係ある物、場所、人の状態などを調べ、その結果を記録した書面。
[詳しく解説]
警察官などの捜査機関が、事件に関係ある物、場所、人について、任意でその存在や状態を調べることを実況見分といいます。実況見分は、一般には、現場検証といわれ、任意捜査として行われます。ですから実況見分を行うには関係者の承諾が必要です。実況見分の結果を記録した書面が実況見分調書です。そこには、犯行が行われた日時が書かれ、凶器が落ちていた場所等が見取り図で示され、被害者が倒れていた場所からそこまで何メートルあったか、また被害者が受けた傷の写真などが書面にされていることもあります。裁判員裁判では、プロジェクターなどで映しながら実況見分調書の証拠調べが行われることもあります。
実況見分調書は、捜査機関など、実況見分を行った人の供述書ですから、本来ならば伝聞証拠として証拠能力はありません。ただ、法廷に本人を呼んで口頭で供述させるよりも、写真や図面で報告するほうがわかりやすく、適切です。また、時刻や距離、位置などは誰が実況見分を行ったかによって影響を受けるものではありません。そこで本人を証人として法廷に呼んで尋問を受け、真正に作成されたものであることを供述したときは、例外的に証拠能力が認められます。
(関連項目)
→証拠能力