[一言で解説]
心神喪失とは、精神障害のせいで善悪を全く判断できないか、または判断したとおりに行動することが全くできない状態。心神耗弱とは、精神障害のせいで善悪の判断力または判断どおりに行動する力が著しく低い状態。
[詳しく解説]
両者とも、精神の障害の有無という生物学的要素と判断能力・行動制御能力という心理学的要素から判断します。精神の障害には、麻薬中毒や認知症、精神薄弱などの精神障害はもちろん、アルコールによる酩酊(めいてい)や催眠状態にあったことなどの一時的なものが含まれます。このような障害によって、判断能力か行動制御能力が全く欠けている状態にあるのが心神喪失者です。このような人を非難することはできないので、責任能力が認められず、犯罪は成立しません。また、そのような精神障害によって、判断能力か行動制御能力が著しく低い状態にあるのが心神耗弱者であり、非難できる部分があるとしても少しだけにすぎないので、刑は必ず軽くされます。
(関連項目)
→責任能力