平安時代に藤原(ふじわら)氏の子弟教育のためにつくられた学校・勧学院に巣をつくる雀は、身近な学生たちが朝夕朗読する「蒙求」を覚えて、声を合わせてさえずるという意味。身近に見たり聞いたりすることは、自然に習い覚えてしまうことをいう。「蒙求」は、中国の晋(しん)の李瀚(りかん)が年少者のために著した、歴史上の教訓を記した啓蒙書。
〔類〕門前の小僧習わぬ経を読む
〔出〕図書寮本宝物集(ずしょりょうぼんほうもつしゅう)
〔会〕「さすがに絵を描くのがうまいね」「いや、おやじが画家なもんだから、子供のときからなんとなく好きになったんだよ」「勧学院の雀(すずめ)は蒙求(もうぎゅう)を囀(さえず)る、だよ。やっぱり環境の差は大きいね」