(「仞」は中国周代の寸法の単位で、長さ約7尺、また「簣」は土を運ぶ「もっこ」のこと) 築山を築こうとして長いこと努力してきたが、たった一杯の「もっこ」の土がないために、完成できないことをいう。物事が完成に近づいたとき、最後の詰めを過つと失敗に終わることがある、という教訓。
〔類〕磯際(いそぎわ)に船を破(わ)る/杯と唇との間で取り落とす/百日の説法屁一つ
〔出〕書経(しょきょう)
〔会〕「明日の発表会に現物が間に合わないとは何事だ。完成寸前だったじゃないか」「それが、最後にミスを……」「ああ、九仞(きゅうじん)の功を一簣(いっき)に虧(か)くか。安心したのがまずかった」