打とうとして振り上げた杖の下に、尾を振ってまといつく犬を打ちたたくことはできないことをいう。懐いてすがってくる人間には、人情として残酷な仕打ちはできないことにたとえる。
〔類〕窮鳥懐に入れば猟師も殺さず/袖(そで)の下に回る子は打たれぬ/棒の下に回る犬は打てぬ
〔会〕「先生のクラスの松下君、いたずらばっかりで手に負えないでしょう」「ええ、そうなんですが……。私に甘えてくる、かわいいところもありましてね。教師も人間、杖(つえ)の下に回る犬は打てないのが人情です」