時系列分析(time series analysis)に用いられる代表的な統計モデルで、多変量自己回帰モデルとも呼ばれる。ある変数を過去の自身の値の加重平均で表現する自己回帰モデル(ARモデル autoregression model)を、2つ以上の変数(多変量)に拡張したもの。VARモデルでは通常の回帰分析(regression analysis)とは異なり、変数間の時間を通じた関係を捉える際に事前に外生変数(説明変数)と内生変数(被説明変数)を区別しない、つまり具体的な因果関係を仮定しないのが大きな特徴である。このため、特定の経済理論を前提とせずに、純粋に時系列データから変数間の関係を分析することができる。
VARモデルは理論分析を補完する重要なツールとして、特にマクロ経済学の研究および実務で盛んに応用されている。経済学(計量経済学)にVARモデルを導入し、実用的な手法として大きく発展させたクリストファー・シムズ(Christopher A. Sims 1942~)が、2011年にノーベル経済学賞を受賞した。