日本銀行が2004年4月から毎年4月と10月に公表している、政策委員による景気・物価の見通し。当初のタイトルは「経済・物価の将来展望とリスク評価」。公表から3カ月後に、想定通りになっているかどうかの判断が示される。金融政策運営の判断材料として使われ、金融市場参加者が今後の金融政策を予想する上でも注目されている。具体的な内容は、国内総生産(GDP、実質)、企業物価指数(CGPI、国内)、消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)の変化率の予想を数値で示す。正副総裁と審議委員を合わせた9人の政策委員による予想のうち、最大値と最小値を除いた「大勢見通し」、高い方から5番目の予想である「中央値」を公表している。量的緩和政策が解除された直後の06年4月の「展望リポート」では、06年度の実質GDP成長率2.4%、CPI上昇率0.6%を予想し、いずれも05年10月の「展望リポート」の予想値を上方修正した(→「量的緩和政策の解除」)。 07年10月時点での「展望リポート」でも、見通しに沿った拡大基調が続くとの判断が示されたが、08年4月の「展望リポート」では、エネルギー・原材料価格高の影響などから日本経済の景気の変調が織り込まれた。その後、サブプライムローン問題を受けた08年10月の「展望リポート」では、当分の間厳しい経済情勢が続くことから、緩和的な金融環境を確保する必要があるとの判断を示している。