2009年2月現在の日本の景気は、08年10-12月期の生産指数が前期比11.2%の低下と、1975年1-3月期の前期比6.7%減を超えて四半期ベースでは戦後最大の落ち込み幅を示すなど、戦後最悪のペースで悪化している。総需要の急激な落ち込みによるもので、国内需要(内需)では、2008年の新車自動車販売台数(軽自動車を除く)が321万台と第一次石油危機直後の1974年(313万台)以来34年ぶりの低水準となるなど、消費が大きく減退し、世界的な景気減速を背景に輸出(外需)も急減した。消費者心理や経営者心理も大幅に悪化し、消費者態度指数は過去最低を更新、日銀短観も73年の第一次石油危機時と並ぶ悪化を示した。こうした日本経済の急速な景気悪化の背景には、アメリカ発のサブプライムローン問題に端を発した、世界的な金融危機と世界同時不況がある。ただし、日本を含む世界の景気は2007年夏ごろからすでに悪化傾向にあり、サブプライムローン問題が一挙に顕在化した08年9月のリーマン・ショック発生以前にも、北京オリンピック(08年8月)後にはその反動から世界的に景気が悪化するとの懸念は示されていた。今回の急速な落ち込みが金融危機によって引き起こされたものなのか、景気循環的にすでに悪化傾向にあった経済活動に拍車をかけたものなのか、今後も注意深く分析する必要があろう。