アベノミクスを受けた円安や公共事業拡大を背景に生産は拡大し、企業収益も回復傾向にある。雇用環境は、2013年11月の有効求人倍率が6年1カ月ぶりに1.00倍と改善した。また、消費税増税(14年4月)による駆け込み需要が期待されることから13年度内は緩やかな回復が続くと見込まれ、14年1月の月例経済報告(政府の景気判断)では「回復している」と、リーマン・ショック前の08年1月以来6年ぶりに明記された。物価は食料(酒類を除く)とエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)(コアコアCPI)が13年10月に前年同月比プラスに転じ、デフレ脱却の動きを示している。13年12月の月例経済報告でも「デフレ」という表現が4年2カ月ぶりに削除された。
しかし、雇用環境の改善は一部にとどまっている。有効求人倍率の回復は非正規雇用への求人が増えたことが主因であり、正社員に限った有効求人倍率は0.63倍(13年11月)。また企業収益の回復にもかかわらず、賃金の上昇は賞与など一時金にとどまり、基本給(ベア)に及ぶかどうかが注目される。消費税増税後の景気下押し効果を弱めるには所得の増加から消費・生産の増加といった好循環に移行できるかがカギであろう。