2014年4月の消費税率引き上げに備えた駆け込み需要(→「消費税増税の駆け込み需要」)と、その後の反動減の影響は弱まり、14年度末にかけて持ち直しの動きがみられた。しかし、15年4月以降も回復感に乏しく一進一退の動きとなっている。背景には、消費税増税による実質所得の低下がある。名目賃金の内訳である所定内給与、所定外給与(残業)ともに増加ペースが鈍く、物価変動の影響を除いた実質賃金は安定的に増加していない。なお、消費者物価(→「消費者物価指数(CPI)」)上昇率は日本銀行の目標(プラス2%)通りに推移していないが、消費税増税の物価上昇分による実質所得の押し下げ圧力はかえって緩和されているなど、皮肉な面がある。15年半ば以降、中国経済の鈍化が懸念され、その後も欧州経済不安なども加わり、世界同時株安の状況が続いている。16年1月に日本銀行が導入を発表したマイナス金利政策は即効的な効果はなく、世界的な金融市場の動揺が先行き不安を増長させている。