2015年10月5日、アメリカのアトランタで行われた閣僚会合で、環太平洋経済連携協定(TPP)は大筋合意した。16年2月4日にはニュージーランドのオークランドで協定文への署名式が行われた。TPPの発効は、2年以内に参加する12カ国すべての国内批准手続き完了が条件となる。ただし、2年以内に手続きを終えられない場合には、国内総生産(GDP)の85%以上を占める少なくとも6カ国が手続きを完了すれば、60日後に発効する。アメリカでは15年6月にオバマ前大統領がTPP交渉に関する貿易促進権限を得て16年2月の署名にこぎつけた。しかし、17年1月に就任したトランプ大統領は即座にTPPからの離脱に関する大統領令に署名。GDPの約60%を占めるアメリカが批准しなければ、現行の形態でのTPP発効の可能性はない。今後は、新たにアメリカを除く11カ国でTPPを推進するか、2国間の個別交渉(FTAなど)に移行する可能性が考えられる。