国民経済計算(SNA ; System of National Accounts)とは一国経済をフロー及びストックの両面から包括的に捕捉する統計体系のことである。国内総生産(GDP)はSNAのフロー統計の一つであり、SNAの作成基準は国連で決められている。日本の国民経済計算は、2016年12月よりSNAの新しい基準である「2008SNA」に変更された。これに伴い、従来、「中間消費」(原材料のようなもの)と区分されていた企業の研究開発(R&D)投資が「設備投資」に含められるようになったことから、GDPの水準は大きく上昇。15年度の名目GDPで見ると31.6兆円かさ上げされ532.2兆円となった。その他、潜在成長率や労働分配率なども、SNAの作成基準の変更を受けて大きく改定されている。アベノミクスが掲げる名目GDP600兆円の目標は旧基準で評価されるべきであるが、旧基準は公表されない。このため、新基準の数値で見れば目標達成となる可能性は高まっている。