2001年11月14日ドーハで発足が決定されたWTO新ラウンドの交渉分野の一つ。アンチダンピング措置の規定の見直しをめぐる交渉は日本が最重要課題と位置づけており、これに強く反対していたアメリカが妥協して、新ラウンドでの即時交渉が決まった。04年末までを交渉期限とする新ラウンドの時間表では、アンチダンピング(AD)措置については、03年9月中旬にメキシコのカンクンで開かれる閣僚会議においてほかの5分野と同時に中間合意がめざされていた。AD措置は、投資ルールとともに、新ラウンドにあたって日本政府が最も真剣に取り組んできた分野である。また日本政府は04年3月16日、AD措置の発動条件を厳格にする新提案をWTO(世界貿易機関)に提出した。これはある企業が不当な安売りをしたかどうかを調べる際に、調査対象に含めることができる企業の範囲を、株式の50%超を保有するか、それに匹敵する場合だけと明確化し、ダンピング価格差の無原則の算定に歯止めをかけるのがねらい。