通商協定にかかわる2国間の紛争の解決を、あらかじめ決められたルールに従って行うため、その協定が設けた仕組み。グローバルレベルの取り決めとしては、WTO(世界貿易機関)による紛争処理手続きが、今日最も重要な意味を持つが、NAFTA(北米自由貿易協定)のような地域的自由貿易協定においても、紛争処理手続きの設置が決められている。WTOの場合、加盟国は、WTO協定の運用とかかわりを持つ問題であればなんであれ、2国間協議の申し立てができる。さらにその問題が2国間協議により解決しなかった場合には、当該紛争について、パネルの設置を要請することができる。アメリカの通商法301条に代表される紛争処理手続きを経ない一方的措置の禁止を明言したことは、通商紛争の多国的解決の道筋を示した大きな進歩といえる。最近の重要な動きとしては、反ダンピング関税収入(→「反ダンピング課税」)を被害業界に分配するアメリカのバード修正法を、11カ国がWTO協定違反として紛争処理手続きに訴えていた問題で、上級委員会(→「パネル」)が2003年1月に協定違反と確定したこと、05年5月にアメリカ政府がEU(欧州連合)のエアバスに対する補助金がWTO協定違反にあたるとしてパネルの設置を要請し、それが認められたことなどがあげられる。