自由貿易協定(FTA)とは、2国間もしくは2極の貿易に対する関税率をゼロとする取り決めをさす。一方、FTAの取り決めに加えて、第三者の輸入に対して共通の関税率を設けることが決められた場合、その取り決めを関税同盟とよぶ。戦後の世界的な貿易自由化は、GATTによる多角的な枠組みの下で進められてきたが、GATTは最恵国待遇を原則として、一部の国だけに適用される特恵関税を禁じていたから、FTAの設立はGATTのルールに抵触していた。しかし、この問題は結局、GATTが「域外に対して障害を高めないことや、域内での障害を実質的にすべての貿易で撤廃すること等」を条件に、最恵国待遇原則の例外規定(第24条)を設けることにより解決された。関税同盟は、通商政策の基本方針(域外関税率)について共通の政策をとる点において、FTAの一歩進んだ形態と考えることができる。また、共通の域外関税率が用いられなかった場合には、一番低い域外関税率を適用している国を迂回した域外からの輸入が行われるので、関税同盟とは、原産地証明(その製品が域内で生産されたことの証明)の煩雑な手続きを強化しないで済むための解決策ともいえる。関税同盟の事例としてはEU(欧州連合)、メルコスール、地域的自由貿易協定の事例としてはNAFTA(北米自由貿易協定)があげられる。また日本政府は自由貿易協定(FTA)という呼称の代わりに、経済連携協定(EPA)を用いる。