金融機関などが保有する貸出債権等を特別目的会社(SPC)などに譲渡することによってバランスシートからいったん切り離した上で、それらの債権が将来生み出すキャッシュフローを原資として支払いを行う資産担保証券(ABS asset backed securities)を発行し販売すること。住宅ローン債権に基づいて発行される資産担保証券のことを、とくにモーゲージ担保証券(MBS mortgage backed securities)とよぶ。アメリカでは、1970年代における住宅ローン債権の証券化に始まり、80年代の自動車ローン債権やリース・クレジット債権の証券化、90年代の商業不動産担保ローンの証券化を経て、2000年代には、証券化商品の市場残高が国債や社債の市場規模に匹敵するまでになった。しかし、07年春からサブプライムローン問題が発生したことによって、アメリカの証券化商品市場は世界的な金融危機の震源地と化した。一方、日本では、1993年の特定債権法施行によってリース債権やクレジット債権の証券化が開始され、98年のSPC法により、証券化の対象資産が不動産などにまで拡大された(2000年に改正され資産流動化法となった)。日本の証券化商品市場は、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)と民間金融機関が提携して住宅ローン「フラット35」の証券化を進めていることなどから、06年度までは小規模ながらも増加傾向にあったが、07年度からはアメリカのサブプライムローン問題の影響を受けて発行額が急減した。