専門の運用者が、多数の投資家から集めた資金を、株式・社債・短期金融市場商品などで一括して運用して、得られた収益を個々の投資家に還元する仕組み。1998年12月から銀行による投資信託の窓口販売が開始されたのを契機として、家計などによる投資信託の保購入額が急増し、2006年後半には、銀行などによる投資信託の販売チャンネルとして証券会社をしのぐまでになった。また、銀行、証券を問わず、系列外の投資信託商品を幅広く取り扱うようになり、高利回り債券への国際分散投資による高配当を売り物とした毎月分配型や、株式・債券・不動産など複数の投資信託に分散投資するファンド・オブ・ファンズなどが人気商品となった。投資信託協会調べによる「株式投資信託」は、1989年末の総資産残高45兆円をピークとして97年末には10兆円まで落ち込んでいたが、2007年10月末には69兆円にまで増加した。しかし、サブプライムローン問題に端を発した株安・円高を背景として運用成績が急速に悪化したことに加えて、同年9月末に金融商品取引法が全面施行されて金融機関の説明責任が強化されたこともあり、同年11月以降は、残高が減少に転じた。なお、「公社債投資信託」は1999年末の総資産残高36兆円が既往ピークであり、2001年12月に破綻したアメリカのエンロン社の社債を組み込んだMMF(マネー・マネージメント・ファンド)が元本割れした事件以来、低迷状態を続けている。