金融政策の最終目標としての物価安定を図る上で、ある程度長い目でみたインフレ率の目標値(または目標範囲)を設定し、それと関連づけて、中央銀行が金融政策の説明責任を果たすような枠組み。ニュージーランドが、1988年4月、消費者物価上昇率を数年間で0~1%程度まで抑制するねらいで、インフレ・ターゲティング(インフレ・ターゲット)を採用したのを皮切りに、90年代に入ってカナダ、イギリス、スウェーデン、オーストラリアなどの各国で、相次いで同様の枠組みが採用された。これらの国では、90年代には世界全体としてインフレ沈静化が進んだこともあってインフレ率の抑制に成功した。一方、90年代後半から深刻なデフレに陥った日本では、デフレ克服のためにインフレ目標を設定すべきとの意見が少なくなかった。また、2006年3月に量的緩和政策が解除された後においては、期待インフレ率の安定化を通じて金融市場を安定化させる役割をインフレ目標政策に求める意見も出されている。