国、地方公共団体、企業などが発行する債券などの支払い不能リスクを判定し、AAA、AA、Aなどの簡単なアルファベット記号で投資家向けに公表する会社。1908年にアメリカのジョン・ムーディが鉄道債の格付けを行ったのを嚆矢(こうし)とする。格付け先進国のアメリカでは、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's)が二大格付け会社となっている。日本の格付け会社としては、格付投資情報センター(R&I)などがある。アメリカでは、2001年に破綻したエンロンの不正会計事件を契機として、格付け会社と顧客企業との癒着が問題となり、証券取引委員会(SEC)による長期間の検討を経て、07年6月には、格付け会社に対する認可制を登録制に改めて新規参入を促し、競争を促進する形での監督体制の変更が実施された。しかし、同年夏に、S&PやMoody'sがサブプライムローンに関連した債務担保証券(CDO)などを一挙に大量格下げしたことは、証券化商品市場における価格急落をもたらし、格付け会社に対する投資家の信頼性を再び失わせることになった。このため、各国の金融規制・監督当局は、格付け会社に対する規制強化策として、格付けに用いたデータや計算手法の開示、格付け分析と営業部門の分離などを求める方向にある。