バーゼル3において、金融危機の再発を防ぐためには、従来と比べてより高い損失吸収力のあるもので中核的な自己資本を構成すべきだという考え方に基づいて導入された新たな自己資本概念。普通株等Tier1、コアTier1とも呼ばれている。従来のTier1は、普通株、内部留保、優先株、優先出資証券により構成されていたが、狭義の中核的自己資本は、普通株と内部留保のみから構成される。また、自己資本からの控除項目についても、将来の税金の払い戻しを見込んで計上している繰り延べ税金資産や、金融機関同士の資本持ち合い(ダブルギアリング)などを従来と比べて厳しく取り扱っている。自己資本比率の最低所要水準は、従来のTier1で4%から、バーゼル3においてはTier1で6%、そのうち狭義の中核的資本で4.5%へと引き上げられる。これに資本保全バッファーの2.5%を加えた7%が、狭義の中核的自己資本についての所要水準となるが、さらに、国・銀行によっては、カウンター・シクリカル・バッファーや「システム上重要な金融機関」に対する上乗せ幅が追加される可能性がある。