2008年秋の世界的な金融危機の経験を踏まえて、主要国などの銀行監督当局で構成されるバーゼル銀行監督委員会が危機再発を防ぐために検討を進めている、自己資本比率規制を柱とした規制体系のこと。2007年から本格的に導入したばかりの新自己資本比率規制(バーゼル2と略称→「新BIS規制」)を更に見直す内容であるため、バーゼル3と呼ばれている。バーゼル3は、自己資本比率規制、レバレッジ規制、流動性規制から構成されている。まず、自己資本比率規制については、バーゼル2と比べて質・量の両面で強化された新しい規制が13年から段階的に実施に移され、19年に完全実施される。最終的には、「狭義の中核的自己資本」比率で4.5%、中核的自己資本Tier1で6%、総資本比率で8%が最低所要水準とされている。また、プロシクリカリティーを抑制する狙いで、いざというストレス局面に備えた2.5%の資本保全バッファーが16年から段階的に設けられるほか、景気変動をならす狙いでのカウンター・シクリカル・バッファーが各国の裁量によって0~0.25%の範囲で実施される。次に、自己資本比率規制を補完する狙いで、リスク・ウエートを考慮しない総資産に対する自己資本であるレバレッジ比率(自己資本÷総資産)をTier1で3%とするよう求める規制が13年から試行される。さらに、流動性リスクへの対応力を高める狙いで流動性カバレッジ比率が100%以上であることを求める規制が15年から実施される。