従来の自己資本比率規制などが景気変動を増幅するように働くこと。たとえば、従来の自己資本比率規制の下では、好況期においては規制を楽にクリアできるので、さらに銀行信用を拡大させて景気を過熱化させる一方、不況期においては規制が実際に効いてくるため、銀行信用を縮小させて不況を深刻化させる傾向があった。引当金制度、時価会計、証拠金制度なども、同様に景気変動を増幅させる面を有している。バーゼル3においては、プロシクリカリティーを抑制するために、平時から最低基準を上回るバッファーを積み増しておいて、それをストレス時に取り崩しできる資本保全バッファーの仕組みを新たに導入している。このため、資本保全バッファーを上乗せした自己資本比率の所要水準を下回る銀行は、配当支払い・自社株購入・役員報酬等が抑制されることになる。また、マクロ・プルーデンス政策の観点から、銀行部門における過度の信用拡張を防止するため、各国当局の裁量に基づいて普通株またはその他の損失吸収力のある資本(たとえば、一定の条件下で普通株への転換などが起きるコンティンジェント・キャピタル)で0~2.5%の自己資本比率の積み増しを求める(不況時には取り崩す)というカウンター・シクリカル・バッファーも新たに導入される。