銀行などの預金取扱金融機関が破綻した場合、破綻した金融機関の預金者1人当たり元本1000万円およびその利息を限度として払い戻しを行うこと。限度額を超える部分については、破綻した金融機関の財務状況が悪化していれば払戻額が一部カットされる可能性がある。金融庁は、2010年9月10日に日本振興銀行を経営破綻と認定して、初のペイオフ発動に踏み切った。日本振興銀行の預金者全体の約3%が、1000万円を超える大口預金者であり、最終的な弁済率は未定ながら、払戻額の大幅カットは確実視されている。ペイオフは、1971年の預金保険機構の設立当初から存在した制度であるが、金融システム不安が表面化した96年4月には、政府が預金を保護する時限措置(当初は2000年度末までであったが、その後1年間延長)を導入してペイオフを凍結した。しかし、金融システム不安が終息するに及んで、預金者の自己責任を問う必要性もあり、02年4月からは定期性預金、次いで05年4月からは普通預金についてペイオフが解禁された。なお、決済用預金(無利息、要求払い、決済サービスを提供という三つの条件を満たす預金)については、引き続き全額保護とされて、現在に至っている。