証券会社や信託銀行などと投資一任勘定を締結し、運用・管理を任せる口座のこと。預かり資産残高に応じて手数料が決まり、基本的に富裕層向けのサービスであるが、2014年9月の「金融モニタリング基本方針」で金融庁が「顧客ニーズに応える経営」として資産運用の高度化をうたったことなどから、ラップ口座の利用が増加している。15年3月末時点で業界全体の契約件数は30.7万件、契約金額は3.9兆円である。14年から始まったNISAとともに、個人マネーを「貯蓄から投資」へとシフトさせる受け皿として期待されている。また、投資信託の乗り換えで手数料を稼ぐ回転売買のビジネスモデルを金融庁が問題視していることもあって、証券会社などがラップ口座のサービス強化に注力している。ラップ口座サービスは、資産運用をプロに任せることによる安心感はあるものの、投資顧問報酬(投資一任受任料)・口座管理手数料・投資信託にかかわる信託報酬などのコストが運用利回りとの対比で高すぎるとの批判がある。ラップ口座で取り扱う株式や債券などの売買については販売会社、投資信託の運用については系列の投信委託会社が担っている場合が多く、顧客との間での利益相反(系列会社との取引を優先して顧客の利益を損なうこと)も懸念されている。