親会社の株式を子会社が保有している場合に、当該子会社が親会社株式を対価として行う(吸収)合併のこと。つまり、消滅会社の株主には、存続会社ではなくその親会社の株式が割り当てられることになる。三つの会社(親会社、子会社、被合併会社)が合併にかかわることからこのようによばれる。従来の商法では、合併を行う際、消滅会社の株主には存続会社の自社株を交付する必要があった。しかし、2006年5月に施行された会社法では、いわゆる「対価の柔軟化」が認められ、存続会社の株式に限らず現金やその他の財産を交付することも可能になった。これによって外国企業は、日本に子会社を設立すれば、自社株を対価として日本企業を買収できるようになる。三角合併が認められたことによって日本企業は今まで以上に「買いやすく」なり、それは日本企業を外国企業による買収の脅威にさらすことを意味する。これに産業界が反発したため、そのような脅威に対する準備期間として、「対価の柔軟化」に関する規定は、会社法施行日(2006年5月1日)から1年間は適用されないこととなった。なお、08年1月に行われたアメリカのシティグループによる日興コーディアルグループの完全子会社化は、三角合併の日本初の案件として注目を浴びた。