上場企業が決算発表を行う際に用いられる、決算内容の要点をまとめた書類の名称。決算短信の種類としては、本決算の決算短信のほかに、四半期決算短信がある。決算短信は各証券取引所の上場規則によって提出が義務づけられている。このような開示書類は他国に類例がなく、日本独自のシステムといえる。決算短信が注目される理由として、第1に「情報の迅速性」があげられる。3月決算の企業であれば、有価証券報告書が閲覧可能になるのは、6月下旬である。一方、決算短信は、現在決算日後45日以内に提出が義務づけられているので、5月中旬には閲覧が可能になるのである。他の情報ソースよりも早く入手でき、タイムリーな分、注目度が高いといえる。第2の理由としては、「次期の業績予想」があげられる。決算短信では、当期の業績情報とともに、次期の業績予想として、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、1株当たり当期純利益の予想値が公表される。一般に、このような予想値は決算短信にのみ記載されたため、投資家にとって有用な情報を提供しているといえる。東京証券取引所は2010年3月期から国際会計基準(IFRS)の早期適用が可能になることに対応して、決算短信に包括利益の実績値を明記するよう求めている。