証券取引法上の開示書類。企業の概況、事業の状況、設備の状況、提出会社の状況、経理の状況などの開示が求められる。企業が一定以上の有価証券を募集または売り出す場合、または現にその有価証券が上場されている場合、法律が定める届出書(有価証券届出書)または報告書(有価証券報告書)を提出し、公衆の閲覧に供することが義務づけられている。しかし、西武鉄道やカネボウに見られるように虚偽記載もときに見られる。こうした状況で、有価証券報告書の記載事項の改善や内部統制の強化、虚偽記載の排除への要望が強く求められるようになってきた。これを受け、各証券取引所では上場企業に内部管理体制や企業統治の仕組みを開示させた上で経営者の宣誓書を提出させており、併せて企業統治報告書の提出も求めている。さらに2006年6月に成立した金融商品取引法では開示内容の充実や虚偽記載への罰則の強化が盛り込まれている。日本では10年3月期決算から国際会計基準(IFRS)の任意適用が認められた。ヨーロッパでの事業展開が盛んな日本電波工業や外国人持ち株比率の高いHOYAなどがIFRSによる有価証券報告書を開示している。14年2月現在、日本におけるIFRS任意適用会社数は17社であり、任意適用予定会社数は11社である。