有価証券の取引のため、または相場の変動を図る目的をもって、風説の流布、偽計、暴行もしくは脅迫を行うこと。金融商品取引法158条によって禁止され、違反者は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処せられる。これは金融商品取引法の下で科せられる罰則としては、虚偽のディスクロージャー(→「情報開示制度」)などに対するものと並んで最も重い。風説の流布は、公正であるべき証券市場における取引を阻害する悪質な行為と考えられるためである。公開会社の社長が、記者会見で「タイでエイズワクチンの臨床試験中」という虚偽の発表を行ったため株価が高騰した、1992年のテーエスデー事件が典型例として著名である。最近では、2006年に摘発されたライブドア事件において、ライブドアの関連会社が出版社の買収を発表した際、ライブドア本体が出資する投資組合がその出版社を支配していたにもかかわらず、その事実を隠したことが風説の流布にあたるとされ、堀江貴文元社長らに一審で実刑判決が下された(被告側が控訴)。