上場企業の支配権の取得や強化を目的として、不特定多数の株主向けに、公告による株式売却申し込みの勧誘を行い、買い付けを実行すること。通常は、直前の株価を上回る価格が提示される。1971年の証券取引法改正で制度として導入された。欧米では、敵対的買収の手段ともされるが、日本では、もっぱら関係会社を子会社化するといった場合に用いられてきた。しかし、2000年以降、村上ファンドの昭栄に対する敵対的TOBなどで状況は大きく変化した。最近では、海外の投資ファンドによる日本企業へのTOBも増えている。理論的には、TOBによって、企業価値を高められない経営者が退場を迫られる場は、企業支配権市場(market for corporate control)とよばれ、企業経営の効率化に資するとされるが、企業価値を毀損するグリーンメーラーに悪用される危険性もある。金融商品取引法では情報開示の充実や買収防衛策が発動された場合の撤回の容認など制度整備が図られた。