被買収会社の取締役会の同意を得ずに買収を仕掛けること。企業買収は、法律的には株式の取得であり、譲渡制限のない公開会社を買収する際に、経営者の同意は必要ない。しかし、事業の再編や拡大のための買収では、円滑な実現のために相手側の同意を取り付けるのが通例である。同意が得られない場合や他の会社との間で買収や合併の協議が進んでいる場合などには、敵対的買収が選択されることがある。その場合、TOBの手続きが用いられる。日本では、敵対的買収は企業風土になじまないといわれてきたが、2000年の村上ファンドによる昭栄に対する敵対的TOBを皮切りに、05年のライブドアによるニッポン放送株式の大量取得など、投資ファンドやインターネット系企業による敵対的買収の試みが相次いだ。上場企業の間では、突然の買収提案に備えて買収防衛策の導入を検討する例も増えているが、ドン・キホーテや王子製紙といった上場企業による本業強化をねらった試みも増えている。