株式や債券など有価証券の公正で効率的な価格形成と円滑な流通を図るために市場を開設する機関。東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の五つの証券取引所に加えて、2004年12月、日本証券業協会の運営する株式店頭市場が証券取引所に転換し、ジャスダック証券取引所が創設された。取引所市場の取引価格は、発行企業に対する不特定多数の投資家の判断を反映し、企業会計や税務上の資産評価に用いられ、各国経済のバロメーターともなる。また、流通価格が有価証券発行の基準とされることで、効率的な資源配分が実現する。このように証券取引所は、単なる証券換金の場にとどまらず、国民経済に大きな影響を及ぼす公共的な役割を担っている。最近では、証券取引がグローバル化するとともに、コンピューター・ネットワーク上で証券取引所に類似した機能を果たすPTSも登場し、ヨーロッパとアメリカの証券取引所が大西洋をまたいだ経営統合に踏み切るなど、国際的な市場間競争が激化している。