多数の投資家に向けて発行される公募債とは異なり、少数もしくは特定の投資家のみに対して発行される債券。公募債を発行する際には、監督当局への届け出や財務情報などの企業情報開示(→「情報開示制度」)が必要だが、私募債の場合、原則として免除される。アメリカでは、中小企業等が生命保険会社などの機関投資家を相手に私募債発行を活発に行っている。また、一定の要件を満たす機関投資家の間では私募債の転売を自由とするSEC(証券取引委員会)規則144Aに基づいて、アメリカ国外の有力企業がアメリカ基準に基づく情報開示なしに債券を発行する例も多い。日本では、50人未満の者に対する投資勧誘を行って発行される少人数私募債のほか、規則144Aにならって導入された適格機関投資家向け私募(プロ私募)債がある。