銀行や生命保険会社など、証券取引法上の適格機関投資家のみを対象に行われる有価証券の発行。投資のプロである機関投資家は、制度上義務づけられた企業情報開示(→「情報開示制度」)が行われていなくとも自ら情報を取得し、投資判断を下すことができると考えられるため、発行者には開示義務が課されない。日本の制度は、機関投資家間での私募証券の転売を自由としたSEC(証券取引委員会)規則144Aにならって導入されたが、もっぱら私募債発行に利用されてきた。プロ私募で発行された証券は、適格機関投資家以外に譲渡してはならず、債券以外の場合、譲渡制限違反の防止が困難と考えられたためである。しかし、2003年の制度改正により、株式や転換社債といったエクイティ証券についても、プロ私募による発行が認められることになり、ベンチャー企業などの株式や新株予約権付き社債発行での活用も始まっている。