金融商品取引業者は、投資家の意向と実情に即した取引を行わなければならないという原則。金融商品取引法40条に規定される。業者の不正な勧誘から投資家を保護するためのルール。適合性原則から著しく逸脱する投資勧誘は、不法行為を成立させることがあり、勧誘を行った業者は民事上の損害賠償責任を負う。リスクをともなう投資は、投資家の自己責任で行われるのが原則だが、投資家の意向と実情からかけ離れた投資にまで自己責任を問うことはできないという考え方である。具体的には、顧客の知識、経験、財産の状況および金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行うことは、適合性原則違反にあたる。同様のルールは諸外国にもあり、「Know your customer」(顧客を理解して勧誘せよ)と表現されることもある。不正な勧誘を防止するためのルールとしてはいわゆる説明義務も重要だが、説明義務で求められる説明も、顧客の属性に適合的な内容でなければならないと説かれる。