議決権を有しない種類株式。株式の所有者である株主は、ふだんは利益配当請求権と株主総会における議決権を有し、会社解散時には残余財産分配請求権を有するのが通例である。しかし、2005年に制定された会社法は、これらの権利のうち議決権を有しない種類株式の発行を認めている。これまでも議決権を有しない株式の発行は可能だったが、その見返りとして優先配当を約束する優先株式の形をとることが必要とされ、優先配当が支払えない場合には、議決権が復活することとされていた。会社法で新たに認められた議決権を有しない株式は、配当を権利内容に制限のない普通株式と同じにできる。上場企業の中には、買収防衛策の一環として無議決権株式の活用を検討する動きもあったが、東京証券取引所は、07年6月、既に上場している企業が議決権に制限のある種類株式を発行することは認められないとする制度要綱を明らかにした。もちろん、これは優先株式の発行を禁じる趣旨ではない。