株式会社が発行する普通株(common stock 権利内容に限定のない標準的な株式)以外の株式。かつては、株主平等の原則に照らして好ましくないとの見方が強く、商法上は、優先配当が約束され議決権のない優先株と普通株よりも配当が劣後する後配株(劣後株)だけが発行可能であった。しかし、財務戦略上は、多様な株式を発行したいとのニーズが強く、定款を工夫することで特定の部門や子会社の業績に配当が連動するトラッキング・ストック(tracking stock)を発行する例も現れた。また、ベンチャー企業に出資するベンチャーキャピタルの間では、株主間契約を結んで役員選任権や増資等に関する拒否権を確保する動きもあった。このため、2001年、02年の商法改正でアメリカなどにならって種類株規制の緩和が進められ、05年に制定された会社法では、優先配当・議決権のない無議決権株式、一定数の役員選解任権や特定の議案に関する拒否権を付与された株式(黄金株)など、多様な種類株式の導入が認められることになり、実際の発行例も現れている。