確定拠出年金制度の口座に、従業員自らが給与などから資金を拠出(しかも所得控除で)すること。現在の確定拠出年金制度の口座に資金拠出できるのは企業のみで、従業員自身は拠出したくても認められないが、2010年11月に衆議院を通過した年金確保支援法案には、マッチング拠出を認める改正項目が盛り込まれている。マッチング拠出が可能になれば、従業員は企業からの拠出に加え、税制優遇を受けつつ自ら老後のための備えを厚くすることができるようになり、確定拠出年金制度の自助努力型としての外形が完成するため、11年通常国会の参議院で継続審議となる同法案の早期成立は、労使両サイドから大きく期待されている。賦課方式で運営される公的年金制度は、未曾有の少子高齢化で動揺が深刻化し、伝統的な企業年金たる確定給付型は、決められた年金の支払いという従業員との約束が企業にとって会計上の重い負担(10年度は約28兆円の積立不足という試算もある)と化し、その拡充は望むべくもないという状況下、マッチング拠出の導入で魅力が高まる確定拠出年金制度の一層の普及は、従業員の老後不安解消の大きな一歩となろう。