自己資本利益率のこと。企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合で、「当期純利益÷自己資本」で計算する。自己資本は原則、株主から払い込まれた資本と、株主に帰属する内部留保によって構成される。このことから、ROEは株主の持ち分(エクイティー)に対する企業の稼ぐ力を測る数字として、とくに理論的にも実証的にもROEと投資家が得るリターンは長期的には収斂するとされ、アメリカなどでは以前より株主、および株主の期待に応えようとする経営者の両方から最も重視されてきた財務指標の一つである。日本ではそうした指標として株主および経営者の間で十分に定着したとは必ずしも言い難く、日本企業のROE水準自体も、例えば直近3年では平均で10%に至らず、アメリカ企業(平均で20%弱)、ヨーロッパ企業(同15%前後)、アジア企業(同10%強)と比べて低いことが課題視されている。ただ、日本版スチュワードシップ・コードの実施やJPX日経インデックス400の普及などが本格化すれば、ROEの改善が促されることも期待できよう。