かつてアジア通貨危機の際に構想された、アジアにおける通貨基金である。世界銀行(WB)とアジア開発銀行(ADB)の関係と同様で、アジア通貨基金は国際通貨基金(IMF)のアジア版。アジア通貨危機の対策として、日本はAMF構想を非公式ながら提案。参加国の拠出で資金をプールし国際的な通貨基金を設立することで、外貨不足に陥った国を支援するなど流動性を確保するもの。日本の台頭を恐れたアメリカと中国と国際通貨基金の反対でAMF構想は頓挫。日本政府は、通貨安定に焦点を当てた支援スキームであるAMFに代わり、アジア諸国の経済ダメージを克服し、国際金融資本市場の安定を目的とした新宮沢構想を表明し、チェンマイ・イニシアチブ(CMI)が導入され、さらに多国間の通貨スワップ契約にマルチ化された。CMIはAMFと比較して支援の受け入れ条件などで差異があるものの、AMFの実現に向けた第一歩ともいわれる。