「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」との考え方。判例を通して確立をみたが、現在は労働契約法に明文の定め(16条)が置かれている。解雇が権利の濫用として無効とされた場合、裁判所は雇用関係の存在(労働者が労働契約上の権利を有する地位にあること)を確認するとともに、解雇期間中の賃金の支払いを使用者に命ずることになる。しかし、いったん解雇された労働者が職場に復帰することは難しく、労働審判手続きにおいても金銭的解決の形で決着することが少なくない。