業務の性質上、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務遂行の手段および時間配分の決定等について、使用者が具体的な指示をしない労働形態をいう。裁量労働については、労働基準法(38条の3、38条の4)により、実働時間にかかわらず一定時間(例えば1日8時間)労働したものとみなすことが認められている。裁量労働制の目的は、このように労働時間のみなしを認めることにより、賃金の額を労働時間から切り離して決めることを可能にすることにある。裁量労働には、SE(システムエンジニア)を始めとする合計19の業務を対象とする専門業務型裁量労働制と、事業運営に関する企画・立案等の業務を対象とする企画業務型裁量労働制の2種類があるが、いずれの場合にも、健康・福祉確保措置および苦情処理措置を講ずる旨を労使協定または労使委員会決議で定めることが義務づけられている。なお、厚生労働省「就労条件総合調査」によれば、2012年1月現在、裁量労働制の採用企業(対象労働者)は、専門業務型で2.3%(1.1%)、企画業務型で0.7%(0.3%)となっている。