一定期間を平均して、所定労働時間が週40時間の範囲内にあることを条件に、特定の日または特定の週における所定労働時間が法定労働時間(1日8時間または1週40時間)を超えることを認める制度。超えた時間(所定労働時間-法定労働時間)は、割増賃金の支払いが必要となる時間外労働とはならない。業務の繁閑や交代制に対応することを目的とする。労働基準法の認める変形労働時間制には、就業規則に定めをおくことによって導入できる1カ月単位の変形労働時間制のほか、労使協定の締結を必要とする1年単位および1週間単位(非定型)の変形労働時間制がある。実際の導入例としては、1カ月単位または1年単位の労働時間制が多数を占めるが、中小企業に多い後者については、原則として労働日数の限度が1年間に280日以内とされるなど、変形期間が長いほど条件が厳しくなっている。厚生労働省「就労条件総合調査」によれば、2012年1月現在、常用労働者30人以上の民営企業の15.8%が1カ月単位の変形制を、33.3%が1年単位の変形制を採用しており、適用労働者の割合では、1カ月単位の変形制が17.8%、1年単位の変形制が22.8%となっている。